ひと月ほど前のネタで申し訳ないですが・・・
我が家の娘も色々と言葉を憶え、
文章で喋るようになって来ました。
日々、娘の成長には驚かされますが、一方で、
私(父親)の抱っこや、薬塗りの手を振り払うほど
娘が私を嫌がるようになって来まして。
最近の娘は、うちのカミさんにべったり。
難しい年齢の2歳2ヶ月。
まぁ、それは年齢と共にある心の変化なので
致し方ないのですが、その娘が先日、
私に向かって二言。
「パパ、帰ってこなくていーよ」
「パパ、バイバイ」
「そんなこと言わないの!」
と、娘はカミさんに叱られ、私は「幼子の言うこと」と思って
その時は必要以上に考えなかったのですが・・・
この娘の二言がボディブローのように、後からジワジワと来ましてね。
ただでさえ疲れきって、人生後ろ向きのジェットコースター状態に加え、
どよ~んと、気分が落ち込んでしまいまして。
常に背中合わせの死神が、私に振り向きかかりましたよ、えぇ。
沈んだ気分のまま、トボトボと仕事の用事足しで街へ出て、
一通り用事も済んだ後、気分転換も兼ねて、フジのフォトサロンへ。
「今週は何の写真展だったっけ・・・」
何度かお会いしたことのある、岸本日出雄先生をはじめ、
同じく札幌コマーシャルフォトに在籍している宇津木圭氏の作品を見て、
「やっぱりプロはすごいな~・・・」
と、ぼんやり観ていたのですが、
私自身の気分が落ちていたせいか、何かこう、
体に入ってくるものがありません。
そんな中、「館内でご自由にご覧下さい」と、
会場の隅のテーブルに置かれた様々な冊子が目につき、
その中の一冊「Made in Japan」と言う写真集を手に取り、
パラパラとめくってみました。
「やっぱりプロはすごいな~・・・」
先程と同じような、ぼんやりとした感覚で写真集を読み進めていたのですが、
数多の作品の中で一枚、ハッと惹かれる作品がありました。
写真家・柿島達郎氏の「sound」と言う作品。
この作品は、三味線を弾いている和服姿の女性を撮ったもの。
肩から上は見切れていて顔は写っていませんが、
和服に爪の紅いマニキュアと手先、肩口の髪型から若い女性と判ります。
そして弾いている本人の左前から、
その三味線の弦を押さえる左手にピントを合わせ、
あとは絞り開放でボケていますが、そのボケの中でも
三味線の胴の部分が体から離れているのが見え、
まるでステージ上でノリノリのギタリストのような感じ。
バチを持つ右手も止まっていて、ブレの無い完全な止め絵にも拘らず、
この一瞬がものすごく躍動感を持っていて、
少し抑え気味の色調ながらも、他の作品を圧倒するほどの存在感。
「か、カッコいい・・・!」
ざわっと全身に鳥肌が立って、何度も見返してしまいましたよ。
鳥肌が立つほどの素敵な作品には
最近なかなかお目にかかれていませんでしたから、
久々に写欲が高まり、今までマイナス思考だった頭が
ガラッと変わってしまうほどの衝撃でした。
「こりゃあ、落ち込んでなんていられんわい」
仕事から家に帰り、
私 「ただいま~」
娘 「おかえり~♪」
とてとてと、満面の笑顔で走り寄って来る娘。
嫌がられたって、いいじゃない♪
娘よ!
嫌われようが何だろうが、おいちゃんはお前をモデルに
めんこい写真を撮ってやるぞ!
・・・おいちゃんなんですか。(自爆)
一枚の写真が、人を変えることもあります。
久々に「カメラマン」の「自分」が、黄泉の淵から帰って来ました。
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