あぁ、徒然なるままに

私の趣味や日々の出来事についてを、自分の独断と偏見による、やや倒錯した文章で徒然なるままに書き記すブログです。

あの頃に、別れを告げて。(笑)

今日、外出する仕事がありまして。


一つ仕事を片付けた後、移動途中に丁度お昼。


地下鉄菊水駅を出ると、そこはかつての見慣れた町並み。
駅改札まで歩いて3分。
実はここは、二十歳の頃に住んでいた所でした。


「そういや、アパートの隣にラーメン屋あったっけ」


大きい通りから一本入った、住宅街のど真ん中。
当時、建ったばかりのそのラーメン屋に幾度か足を運び、密かに
全メニュー制覇を狙っていたんですが、私は別の街に転勤になり、
それ以来、来ていなかったのです。


郷愁に誘われて、当時住んでいたアパートの隣に行くと、
当時は新築だったラーメン屋が今だ健在・・・


あれ?
でも、何か雰囲気が違うなぁ。


ラーメン屋の名前が消され、「お食事処」と書かれたのれんが。


店、変わったのかな?
でも、何か活気が無いし。
本当にやってんのか?
でも、のれんかかってるからなぁ。


と、一抹の不安を覚えながらも、14年ぶりに敷居をまたぐと・・・


不安的中。


もう、何と言ったら良いか・・・


過去の記憶がほとんど当てはまらない、今と昔のパラレルワールド


店内は電気をつけておらず、どんよりと薄暗い。
その薄暗さからか、当時は黄色く見えるくらいに明るかった壁が、
まるで廃墟のように煤けて見える。
入り口の隅っこにポットストーブが小さくついているだけで、
何となく薄ら寒い。


朝から誰も客が来ていないのでしょう。
見覚えのあるカウンターの向こうにある調理器具も冷え切って、
換気扇すら回っていません。
店主らしき人は、常連なのか近所の人なのか、店内にいる爺さんと
タバコをもうもうとふかしながら世間話。
テレビの音だけが空しく響き渡り、店内のどこにも
「やる気」が見えません。


「えれぇ所に来ちまったなぁ・・・」


内心そう呟きながらも、注文すべく壁を見ると、メニューの書かれた
木札が数枚。


ざるそば、チャーハン、餃子定食、カレーライス・・・
当時のラーメンは一つも無く、メニューにも統一性がありません。


アタリをつけてみるべく、カレーを注文。(500円)


おばちゃんが作り始めるも、店主は尚も、タバコをふかして世間話中。
むむ~・・・


当時私が座ったのと同じ椅子に座りながら、カウンター越しに
厨房の中を見ていました。


おばちゃんは、業務用コンロに火をつけ、取り出したタッパから
小さい鍋にカレーをボトボトッと・・・
何だか、家の夕べの残ったカレーなんじゃないかとも思えてしまったり。
よくある業務用カレーでもなさそうな気配が、そこはかとなく。


そんな中、これまた知り合いか常連か、タクシーの運転手さんが現れ、
店主と爺さんと三人で、
「仕事3時で切り上げて、やるべ!」
「一つ100円でよ!」
と、白昼堂々賭けマージャンの話。


やっぱりどこにも、誰にも「やる気」が見えません。


一方、おばちゃんは鍋でカレーを温めている間に食器を用意していたのですが、
その時、私は見てしまいました。


カレー皿を、カウンターの上にあった布巾で一回、くるっと拭いた所を。


その布巾って、カウンターを拭くヤツじゃあないのっ!?
しかも拭く程、埃が積もる程に、その皿を使ってなかったのっ!?


「えれぇ所に来ちまったなぁ・・・」


再び、内心そう呟くも、今となっては後の祭りです。


そんな皿に盛ったご飯に、温めたカレーをドボドボッとかけ、
おばちゃんは手掴みで、至極少量の福神漬をパラパラと振りかけ、
「はい、どーぞ」


出て来たのは、やたらとブツ切りな豚のバラ肉&刻んだ玉葱のカレー。


目の前にあるのに、ちっともカレーの匂いがしないんですね。
食してみるも、「カレーと言えばそうか」程度の味。
甘くも辛くも、しょっぱくも無く、完全に味がボジけてるんです。
ハッキリ言って、大失敗!うわあ~!
これで500円かぁ・・・


「みよしの」の「ぎょうざカレー大盛り」でも、500円しません。
「みよしの」の方が、遥かに旨い!
自宅でなら同じ500円でも、具がごろごろして味もハッキリしている
普通のカレーを、鍋に一つ作れます。


私は外食の時、本当に旨かった時や、また来たい時には、
「どうもご馳走様」と言って店を出て、
二度と来たくない時は、「どーもー」とだけ言います。


今回は、明らかに後者。


早々に平らげ、そそくさと店を後にして、次の仕事に向かいながら
大きな溜息と共に、ノスタルジアに別れを告げて来ました。