私には珍しく、音楽批評をば。
今回取り上げるのは、シンガーソングライター、天野月(子)さん。
括弧書きで(子)なのは、以前は「天野月子」、現在は「天野月」名義で活動しているため。
私が彼女の曲を初めて聴いたのは、PlayStation2の「零 ~紅い蝶~」と言うゲームが始まりでした。
この「零」と言うゲームのシリーズ、内容は純和風ホラーでして、
これが非常に怖い。
どれだけ怖いかと言うと、夜、夢で見るくらい。
しかし、その怖さが癖になる、非常に奥の深いソフトでして。
いや、ホントですよ。
シリーズ三部作、やり倒しましたから。
その奥の深さも、単に怖いだけでなく、謎が解き明かされて行く度に見えて来る「哀しみ」。
逃れられない自分の「末路」に対して、それに抗った故に起きた過去の禍と悲劇。
そして、その悲劇を追体験するかのような現代の主人公達の物語。
その「哀しみ」を表現していたのが彼女、天野月さん(当時は「天野月子」)の曲、「蝶」と「聲」。
「蝶」
「聲」
この悲哀を帯びた2曲を聴いて以来、力強く迷いのない歌声に惹かれまして、
ツタヤで探してみたら、ありました。
早速、店頭にあったアルバムを全部借りて来まして、聴いて見ましたら・・・
見事にハマりました。
ファーストアルバム「箱庭」を聴いたときに最初に私が受けた印象は、
しかしその一方で、「蝶」「聲」だけでなく、非常にロックテイストな曲からコミカルな曲、
そして明るいポップな曲まで、実に多彩でして。
ポップな曲では、さもアイドルっぽく、声色まで変わってしまうのです。
これは聴いていて、非常に楽しかったですね。
それだけでなく、もっと重要視したいのが、何と言ってもメロディーライン。
近年のポップアーティストに見られる、平坦でミニマリズムなメロディーパターンではなく、
彼女はメロディーもリズムも非常に起伏に富んでいて且つ、
次のフレーズに展開させる術を心得ていて、
「飽きない音作り」をしているのです。
個人の趣味趣向もあるでしょうが、私は昨今の流行歌を聴くよりも、
彼女のアルバムを聴く方が断然面白いと思います。
天野月さんは現在、インディーズで活動されているようですが、
以前、ポニーキャニオンで出していた時のように、もっとメジャーに出ても良いと思います。
インディーズのままでいるのは非常に惜しい人です。
デビュー15周年。
これからも走り続けて欲しい女性アーティストの一人です。