あぁ、徒然なるままに

私の趣味や日々の出来事についてを、自分の独断と偏見による、やや倒錯した文章で徒然なるままに書き記すブログです。

「乗られた」話

前回の稲川話にて書きました「タコ労働者」に付随した、曰く話からの実体験をば。


北海道の上川~網走間では、明治時代に囚人やタコ労働者によって建設された軍用道路、
所謂「囚人道路」があります。
この囚人道路、今でも国道や道道として現存していますが、その建設の経緯や詳細は、
ネットで調べてみて下さい。


この囚人道路だった現国道・道道の一部、北見~網走間の道路で、国道を通るより近い
緋牛内~卯原内区間道道があります。
この緋牛内側の道道入り口の少々手前から入る農道がありまして、信号で止められる事も無く
ショートカットが出来る事もあり、我等地元の人間は、この農道を良く通ります。


この農道、やはり通行量が多いからかキチンと舗装もなされていますが、
実はこの農道の出口(道道との交差点)の傍には、先程の囚人道路時代の名残、
「鎖塚」があります。


強制労働で殉職した囚人の人骨が出土した場所であり、人骨と共に、逃走を防ぐ為に
足にはめられた鎖が出土した事から「鎖塚」と名付けられました。
あの故・宜保愛子さんも、霊視でやって来た所です。


まぁ、余りにも有名な所なので、例え霊能者じゃなくても、誰しもが悲しい歴史を
語らざるを得ない場所ではありますが・・・
それはさておき。




ある日、北見で買い物をし、日もとっぷり暮れてから網走への帰路に着いた時の事。
大体、夜8時過ぎ位でしたでしょうか。


「どうするかな、ちょいと近道するかな。」


陽が高いうちなら兎も角、「鎖塚」の前を通る事になるので、いくら走り慣れてるとは言えど
夜はやはり躊躇します。
前や後ろに別の車がいるなら、躊躇わずに走るんですけどね。(笑)


生憎、この時は前後に車は無く、私一人。


「ええぃ、通っちまえ。」


どうせ道の途中で対向車にも出会うだろうと思い、農道に入りました。


余談ですが、この農道の緋牛内側の端、北見側から見れば農道入り口になりますが、
この入り口すぐの所には、いかがわしいホテル(と言うよりモーテル?)があります。
・・・使った事が無いので、良くは知りませんが。(笑)
それはさておき。


そのホテル入り口前を通り過ぎ、辺りは漆黒の闇。
この農道は舗装こそされているものの、当然周りは畑だけ。
民家は遠く、街灯も無い為、見える光は自分の車のライトのみ。


カーステレオを大きめにかけ、真っ暗な農道を一直線に走っていると、
突然チカチカと、車内に閃光が走りました。


「!?」


実はこの閃光、電波を感知してLEDがチカチカ光る、携帯電話に付けていた
アクセサリーの光でした。
真っ暗な車内では、事の他明るく見えたのです。


「あ~、びっくりしたぁ。
 ・・・でも、着信音は鳴らなかったしなぁ・・・
 カーステレオもかけてたから、着信音が聞こえなかったかな?」


携帯を確認すべく、ハザードランプを点けて車を停め、


「これでワン切りだったら、腹立つな。」


そう思いつつ携帯を手に取り、ボタンを押すと、


ピピピッ!「履歴/メッセージはありません。」


・・・あれ?
念の為、もう一度・・・


ピピピッ!「履歴/メッセージはありません。」


・・・何で?


着信の電波も無いのに、何故アクセサリーが光ったのでしょう?


妙な空気を感じつつも、深く勘繰ったら余計に泥沼になる感じがして、


「・・・うん、見なかった事にしよう♪」


こう言う時は、変に感覚を研ぎ澄まさずにいる方が吉。
所謂「知らぬが仏」ってヤツです。
携帯を助手席に置き、私は再び車を走らせます。


気にはしないで置こうと思いつつも、カーステレオの音を半分上の空で聞きながら、
頭じゃ色んな事を考えてました。


「着信無いのに、何故光る?」
「もしかして、車に『何か』が『乗った』んじゃないか?」
「もうすぐ鎖塚・・・これでまた光ったら洒落にならんぞ・・・」


何故かこの時、鎖塚前でもう一度光りそうな、変に確信めいた予感がありました。


それから大体、2~3分。
緩い下りのカーブの先、鎖塚が見えて来ました。


「・・・」


その鎖塚の前を通り過ぎる直前、再び車内に閃光が!


「うわ、やっぱり光ったぁ!」


鎖塚を通り過ぎてすぐ先、道道に繋がるT字路交差点での一時停止。
そこで携帯を確認するも、


ピピピッ!「履歴/メッセージはありません。」


思わず叫んでしまいました。


「・・・くそ~、やっぱり乗られてた~!」


予想通りの展開になった事で、早く帰りたい気持ちと恐怖心が入り混じり、
すぐ近くに死亡事故現場もある事から「事故っちゃかなわん」と焦る心を抑えつつ、
嫌な汗をかきながら安全運転で峠を超え、網走に向かいました。


見慣れた街の明かりが見えて来るまで、怖くてルームミラーを見られなかったですよ。
えぇ、ホントに。
これが変に「霊感」の強い人なら、後部座席に座っている「誰か」を見ちゃうんでしょうね。



今思えば、農道の途中で「誰か」が「乗って」、鎖塚で「降りた」んでしょうか・・・?
ええぃ、人の車をタクシー代わりに使いおってっ!(笑)