あぁ、徒然なるままに

私の趣味や日々の出来事についてを、自分の独断と偏見による、やや倒錯した文章で徒然なるままに書き記すブログです。

置き土産

NHKと戦えるほどに全くTVを観ない我が家では、
始まったことすらも知らないまま、オリンピックも終わっていました。

年が明けたと思ったら、高い空に吹く風ももう冷たく、
近所の草むらに鈴虫が鳴き始め、秋刀魚が美味しいこの季節。
秋の夜長に、稲川淳二

と言うワケで、しばらく振りに怪談です。
前振り長いよ!

さて。
かなり前の話ですが。

私の父方の実家には、大戦中に沖縄で戦死した伯父がおりました。
戦後ウン十年の節目の戦没者慰霊祭が沖縄であり、
その式典に、父方の親族が皆で行ったときの話。

慰霊祭・式典も終わり、大戦当時の悲劇の地である防空壕に参加者で慰霊に行きまして、
そのとき、親族の中ではちょっと霊感の強い叔母が一人、グループから外れてフラフラと、
まるで何かに招かれるかのように、その防空壕跡の洞窟に入って行ってしまいました。
気付いた回りの人が慌てて追いかけ、その洞窟から引っ張り出したそうですが。

その叔母曰く、

「強い力でどんどん引っ張られて、自分ではどうすることも出来なかったの。
 洞窟の中に入ったら、無数の手が、私を掴んでくるのよ。
 そこで私、言ったの。
  『私にはあなた達を助けられる力がないの。お願いだから、離して』って。
 そうしたら、一斉にその手がすうっと消えて、皆に洞窟から連れ出されてね。」

・・・と言った話を、その叔母が沖縄から帰って間もなく、
体験談として、私の実家に来たときに話して行きまして。

さて、本題はここから。

その叔母が帰ってから、私の母が、まるで手足に鉛が着いたかのように
体中が異様に重たくなって動けなくなり、
家事も出来ずにソファで横になって休んでいたところ、

「ただいま~」

当時学生だった私の姉が、学校から帰宅。
母はソファに横たわったまま、

「おかえり~。
  さっきまで、叔母さんが来てたんだ。
  沖縄行ってたんだって。」

「あ、そーなんだ。」

そして姉は、自分の部屋に向かい、その途端、
母の体の異様な重さが、すぅっと抜けるように軽くなり、

「さっきまでの体の重さは何だったんだろ?」

と不思議に思いながら、さて晩御飯の支度に取り掛かろうと思った矢先、

「きゃあっ!」

奥の部屋から、姉が飛び出して来まして。

「今、背中突っつかれた!」

母が姉の背中を見ても、特段何も異常はなく、
姉は渋々自分の部屋に戻ったところ・・・

姉がピアノの練習を始めて間もなく。

「きゃああっ!」

再び絶叫が。

「今、誰かに肩掴まれた!」

肩こり持ちの姉ですから、肩がケイレンでもしたんじゃないかと
母がまた姉の肩を見ても、特段何も異常はなく、
不穏な空気を感じながら、姉はまた自分の部屋に戻ったところ・・・

「きゃあああっ!」

三度目の絶叫が。

「今、後ろに誰かがいた!」

姉曰く、開けたピアノの鍵盤の蓋に自分の姿が映りこみ、
その自分の姿の後ろに、誰か別の人影が見えたと言うのです。

この日のこの時間、家には母と姉の二人きり。
狭い家なので、隠れる所も無く、他に誰かがいるとは思えません。

そこで思い当たったのが、先の叔母の話。
母はまだ、姉に叔母の件の詳細を話していなかったので、
かくかくしかじか、一通り話してみたところ・・・

二人揃って、『それだ!』

三人の共通項は、霊感が強いこと。
叔母が戦場跡で「何か」に憑かれてしまい、
叔母が我が家に来たときに母に乗り移り、
更に帰宅した姉に乗り移ったのでしょう。
そう考えると、合点がいきます。


さて、困りました。
姉に憑いてるこの「何か」を祓うには、どうしたものか。

そこで思い出したのが、知り合いの整体師さん。
家族で時々お世話になっている人なのですが、
「『邪気』を祓う」ことも出来るとも聞いていました。

で、母と姉が、その整体師さんの所に行ってみたところ、

「ありゃ、乗ってるねぇ。」

と、一発で見抜かれたそうです。
判る人には判るんですね。

その整体師さんは、姉の背中に手を置き、「はっ!」と「気」を送り込むと、
姉は背中から「何か」が、すぅっと抜けて行くのを感じたそうです。

それ以来、自宅で変なことは起きなくなりましたが、
全くもって、叔母も困った「置き土産」をしてくれたものです。

霊感が強すぎるのも、考え物ですよね。


-----------------

にほんブログ村」 ランキング参戦しております♪
↓ポチッとお願いします。
\?\᡼\? 1