あぁ、徒然なるままに

私の趣味や日々の出来事についてを、自分の独断と偏見による、やや倒錯した文章で徒然なるままに書き記すブログです。

The CAR

唐突ですが。

何だか似ていませんか?

・・・似てねーよ。

と言うわけで、怪談です。



網走~小清水の間に、約5kmの直線道路があります。
ここは一般的に「じゃがいも街道」と呼ばれているのですが、
とあるスジでは、ここは「幽霊の乗った片目の車が出る」との噂がありました。


ある日、母と姉が小清水方面からじゃがいも街道を通って
網走へ帰ろうとしていたときのこと。

街道に入った頃には、もう陽もほとんど暮れかけて、
ライトを点けないと見えない暗さにまでなって来ていました。

母と姉の乗った車の前も後ろも対向車線も他の車は全く無く、
真っ直ぐな街道をひたすら北へ走っていまして。

少々心細くなってきた二人の視線の先に見えたのは、
どうやら対向車線の車のライトっぽい、一つの光。

二人は「片目の車」の話を知っていたので、光が二つではなく、一つだけと言うのは
むしろ不安を煽る所がありました。

母 「例の車だったりして・・・」

姉 「・・・」

二人が不安に思い始めた時、その一つの光はフッと消えてしまいました。
街道は上下に起伏のある道だったので、下がった所で脇道へ行ったのか、
はたまた止まってしまったのか。

母 「・・・バイクだったのかな。」

姉 「光は一つだったよね・・・」

しばしの沈黙の後、対向車線に再びライトの明かりが。
今度は車らしく、ちゃんと二つ点いていました。

母 「あぁ、いたいた。」

姉 「バイクじゃなくて、やっぱり普通の車だったんだ。」

母 「よし、どんな車か見てやる♪」

対向車のライトもどんどん近づき、そしてすれ違いざまに、
運転席の母は、相手の車を見ました。

母 「見た見た。
   黒いセダンの車で、男の人が運転してた。
   バックミラーでナンバー見てやろうと思ったら、モヤか煙か、良く見えなかった。」

姉 「え・・・?」

姉が怖がらないようにと、母は更に話を続けます。

母 「目元が見えなかったけど、少し笑ってるようだったよ。
   『暗い所を走っている仲間がいたんだ』とか、思ってたのかね。」

姉 「・・・何で見えるの・・・?」

母 「え~?何も、普通に見えたよ。私、目が良いから。
   青い縦縞のシャツ着ててさ。」

姉 「・・・だからさ、こんな真っ暗なところで、何で相手の『車の中』まで見えるの!?」

母 「・・・」

二人 「え゛~!?」


考えてみてください。
車を運転する人なら解ると思いますが。

夜は車のライトで眩惑されて、対向車の運転席の中までは、見ようと思っても見えません。
もし見えるとしたら、懐中電灯で自分の顔を照らしながら走っている場合しかありませんが、
そんな危険でアホなことをしながら走っている人はいません。

更に言うなら。

仮に時速60kmで走っていたとして、相手も同じ速度なら、
相対速度は120kmになります。
暗闇の中、時速120kmで、相手の表情とシャツの色・柄まで見えるでしょうか?
どう考えたっておかしいです。


しかも気になるのは、運転手の目元が見えなかったことと、
車の後姿が、モヤがかかってよく見えなかったこと。

先の記事にも書きましたが、目が隠れていたりするのは、この世の人じゃあありません。

また、いくら田舎道とは言え、街道はしっかり舗装された道なので、モヤや土埃は立ちません。
相手の車が整備不良で、煙が大量に出ていた可能性もゼロではありませんが・・・

私が良く耳にするのは、「あちらの世界(あの世)」の車は、
大抵モヤがかかったように見え辛くなって去って行く、と言うこと。

結局、母が見た車と運転手の正体は判らずじまいでしたが、
もしかしたら本当に、「見える」人にだけ見えた「あの世の人と車」だったのかも知れません。


車を運転していた男の不敵な笑みは、

「俺が人間じゃないと、よく判ったな。」

という意味だったのかも・・・

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