さて、棚卸三部作のラスト、行ってみましょうか♪
これは実際に会社で問題になっていた事で、
棚卸の意味が根底から変わってしまうので、
一度徹底して社内に周知した事があります。
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仕入れた商品、いわゆる「在庫」には、当然「価値」があります。
その商品の価値は、仕入れて支払をした時点で決定され、
基本的に変動するものではありません。
「買った時のまま」の金額なのです。
例えば、なかなか売れずに倉庫で埃を被っている商品でも、
「埃さえ掃えばマトモな商品」な訳ですから、価値が無くなっている
訳ではありません。
仕入れた時に「相応額を支払った」事実もある訳ですから、
最低限、その支払額の価値分はあるのです。
そこで、商品が「売れないから」と言う理由で商品単価を変えてしまうと、
在庫の金額や利益率が狂って、大変な事になります。
単価を変えてしまう例を挙げてみましょう。
\10,000 の商品を仕入れた
↓
売れないので、\10 に下げた
↓
\9,990 の大損
棚卸在庫の金額が下がり、その分、他の商品を売った時の利益までもが
消えてしまいます。
しかもこのケースだと、
「\10 の価値しかない物に、\10,000 も払ったのか?」
と言う問題が出て来るので、仕入と棚卸の意義自体が根底から揺らぎます。
もう一つ、利益率の視点から見てみましょう。
これまた極端ですが、
\3,000,000 の車を仕入れた
↓
決算まで売れず、\10 に下げた
↓
\2,999,990 の大損、決算で大赤字
↓
翌期、\4,000,000 で売れた
↓
\3,999,990 の大もうけ、利益率 400,000% !?
\10 の価値しかない車に \3,000,000 も払った事実。
\10 の価値しかない車を \4,000,000 で売った事実。
前期は大損、翌期は大もうけ。
利益率 400,000%。
もうメチャクチャです。
とても真っ当な処理とは言えません。(苦笑)
商品の価値を勝手に変えると、こんな事になる訳です。
勿論、劣化や破損等で、商品価値を下げざるを得ない時はあります。
その時は、
「割れてしまったので、切って半分しか使えない」 → 半額にする(評価損)
「傷んでしまっていて、もう使い物にならない」 → 廃棄する
等々、その評価や廃棄の処理をした時に、初めて「損計上」をします。
「売れなさそうだから」と言う「予測」で、価値を変えてはいけません。
税務署の税務監査でも、
「商品が真っ当な状態で、真っ当な価値評価がされているかどうか」
を重点的に見ます。
商品(在庫)の価値を、簡単に変える訳には行かないのは、
このような理由があるからなのです。
また、食品の様に「傷んで価値が無くなるのが速い」商品もあります。
それでも、仕入れた時の金額は支払わなければなりません。
「2日で傷んで商品価値が無くなったから、売れ残り分のお金は払いませんよ」
なんて、仕入先に話したって通用しませんよね?
そこで、半額ラベルを貼ったりして早く売り切り、その仕入金額を支払う為に
少しでも元を取ろうと頑張る訳です。
職場の皆さん、在庫商品の考え方が、少しはお解り頂けましたでしょうか?