あぁ、徒然なるままに

私の趣味や日々の出来事についてを、自分の独断と偏見による、やや倒錯した文章で徒然なるままに書き記すブログです。

別れを告げに

え~、お暑うございますな。

職場のエアコンで体の芯から冷え切っている私には、
この暑さはむしろ「気持ち良い」と思ってしまうのですが。
一方、カミさんは暑さでバテバテのご様子。
この暑さなら、無理もないっす。


こう暑いと、
夏だ!
アイスだ!

と言う訳で、久々に怪談といってみましょうか♪

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もう、何年前になりますかね。
これは実家で実際にあった話ですが。


私の母が自室で、横になりながらTVのニュースを見ていた時のこと。
視界の端に、ズボンを履いた男性の足がスッと現れたので、
母は父がそばに来たものと思い、

「政治も何だかね~、世の中どうなってしまうんだろうね。」

とTVに目をやったまま語りかけました。

するとその足は、何を告げるでもなく、そのままスッと部屋から立ち去り、

「人が話しているのに、返事も何もしないなんて」

と憤慨した母は、その後を追うように部屋を出て、
台所にいた父を見つけ、開口一番、

「ちょっと、人が話しかけてるんだから、返事してくれてもいいでしょ!」

と食って掛かると、父は面食らった顔をして、

「何?何の話だよ。」

そこで母も、

「さっき、部屋に来たでしょ。話しかけてるのに、返事もしないで出て行くんだもの。」

一方父は、

「俺ずっとここにいたよ、ここでカボチャ切ってたよ。」

イメージ 1

(画像はイメージです。)


その直後、電話が鳴り響き、私の姉の旦那のお父さん(お義父さん)が危篤との連絡が。

そこで、母は気付きました。
さっき視界の端に見えた足は、その「お義父さんの足」だったことに。

母は妙に霊感が強いので、「見えて」しまったのでしょうね。



その危篤の電話を受けた私の姉夫婦はその後、夜を徹して、お義父さんの入院している
札幌の病院に向かいました。

そして家には、子供達二人と母の三人が留守番。

危篤の「お義父さん」と、大急ぎで向かっている姉夫婦を心配しながら、
母が寝床に着こうと思っていた深夜。


二階の子供部屋で、戸の開く音が聞こえました。

カチャ・・・パタン。

母は最初、上で寝てる子供達が、トイレにでも行くものかと思っていましたが。
トイレの戸の開く音がしません。

「・・・?」

すると、その音のした戸の隣の部屋から、また戸を開けたような音が。

カチャ・・・パタン。


母の寝ている部屋のある一階と二階とは、階段部分で吹き抜けになっており、
音が結構筒抜け状態なので、どの部屋辺りで何が起きているかが大体判ってしまいます。

どうやらその戸を開け閉めする音は、トイレに起きた子供達ではなさそうで、
ちょっといつもと違う空気を感じた母は、耳をそばだてていると、
今度は、トス、トス、と二階の廊下を歩くような、力ないゆっくりとした足音。

どうやら、子供達の元気ある足音ではありません。


「・・・もしかして、札幌のお義父さん!?」

と母は思い、更に注意深く気配を窺っていると、今度は、姉の旦那が普段寝ている
和室の襖をスーッと開ける音が。

一呼吸置いたのち、またスーッ、パタン、と襖を閉める音が聞こえ、
その隣の、普段姉が寝ている部屋の戸の開ける音が。

カチャ・・・パタン。


まるで、全員の部屋を確認して歩いているような気配です。

「もしかして、全員の部屋を見て回っているのかしら・・・」

と思っている矢先、今度は階段を降りて来る、ゆっくりと力ない足音が。

トス・・・トス・・・トス・・・

「・・・ここにも来たらどうしよう・・・!」

と、母は内心焦りましたが、階段の途中で足音は止まり、
それっきり音は止んで、家の中は再び静寂に包まれました。

その時、母は何だか妙に胸騒ぎがしたそうですが。



その一時間後、札幌に向かっている姉夫婦から涙ながらに電話があり、
「つい先程、お義父さんが息を引き取った」とのこと。


姉夫婦が札幌に到着するまで間に合わず、残念ながら死に目には会えなかったのですが、
札幌のお義父さんは忌の際に、皆のところへ別れを告げに歩いていたのでしょう。


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